はじめに…

前作と比較すると”軽量化”がテーマとなっているKD 13 EP。
外から見た感じ、シンプルな見た目のアッパーとミッドソールがどこか物足りなさを感じていた方も多いのではないでしょうか?
そんなKD 13 EPを分解することで、通常であれば目に触れることのない内部構造を紹介し、前作からの進化を紐解いていきたいと思います!!
注目ポイントは…
上記3点となっています。
また、
分解時間過去最長!
手と腕を負傷するというアクシデント!
などトラブルに見舞われながらの分解模様をぜひご確認頂けますと幸いでございます!!
↑動画版もぜひご視聴下さい↑
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KD 13のアッパーを分解

まずは上から順に…ということでアッパーから分解後の解説をしていきます。

分解前にシューレース(靴紐)を解き長さを測定…。
シューレース自体は特に複雑な構造というわけではないので、簡単に着脱することが可能です。
平織りタイプのシューレースは全長約160cm(メンズ28cm)となっていました。
色を変えたい! 解けやすい! 切れてしまった!など様々な理由で交換する機会が少なからずあると思うので、ぜひ参考にして下さい。
ちなみに、ナイキではシューレースやインソールの単体販売を表立って行なっていないのでABCマートなどで汎用性のある自身の好みに合ったシューレースを見つけて下さい。

それではいよいよアッパー本体の分解を解説していきます!
いつもアッパーの分解は容易に行えるのですが、今回は表のヒール部分に配置されている合成皮革、内部に配置されているスポンジとTPUの影響で苦戦しました。。。
苦戦といっても5分ほどなのですが、これでもいつもの2倍の時間を要しているので、相当耐久性が高いことが証明できたことになりますね!
バスケットボールシューズは、2メートルオーバーの大柄な選手がフルパワーで使用するシューズです。
簡単に分解できたら少し不安になりますよね。。。
表面に関してはレビュー記事で解説しているので、
上記記事でご確認お願いします!!
なので本記事では内側部分に注目していきましょう。

まずは、アッパー前足部分の内部構造から。
画像の赤丸部分に注目してみましょう。
合成繊維のメッシュ素材に薄手のスポンジがサンドされています。
このスポンジがシューズが足に触れたときに柔らかさを提供してくれるので、快適な状態でプレーすることを可能にしてくれます。
また、合成繊維のメッシュ部分がシルクのような滑らかな質感となっているので、究極「素足で履いても快適なのでは?」と思ってしまうほど!

次は、アッパー中足からヒールにかけての内部構造を確認してみましょう。
こちらも画像の赤丸部分に注目してみましょう。
前足とは異なるカラーのスポンジが配置されています。
前足部分は一般的な食器用のスポンジのような質感、こちらはやや密度が高く硬めのスポンジとなっています。
快適な状態をキープしつつ、ヒールをしっかり固定するための工夫ですね!
また、画像をよく見てみると青い素材が見えるのが分かりますでしょうか?
これはTPU(プラスチック)とシリコンの間くらいサポートパーツです。
通常のシューズのヒールカウンター的な位置付けでしょうか。
ヒールの固定感はプレー中の足のブレを防ぐ大切な要素です。
足が少しでもブレてしまうと、選手はシューズへの信頼感を失い、ネガティブな印象を持ってしまいます。
シグネチャーシューズのKD 13 EPは、繊細な選手の感覚を踏まえた構造が必要なので、このようなパーツを内部に忍ばせ、選手を支えているのです!
実は、ヒール部分の内部構造にはもう一点注目して欲しい工夫が隠されています。

動画と合わせてご覧頂けると伝わりやすいという本末転倒な説明とはなるのですが、ヒール部分は他の部分の2倍〜3倍程度厚手に構築されています。
もちろん、固定感を生むためでもあるのですが、クッション性を提供し、着地時、動き出しの際に硬さを感じないように工夫されている感じです。
履いた瞬間、「快適だなー!」「気持ちいなー!」と感じたのは、このヒール部分です。
あっ!ちなみに、前足部分と同じスポンジが厚手に配置されています!
アッパー最後は、シュータン(ベロ)部分を紹介します!

厚手で快適なのは外から見ても伝わりそうな出で立ちではあるのですが、画像の赤丸部分が重要ポイントなので、紹介させて頂きます。
素材感を一言で例えるなら、”ゲキ落ちくん”を少し滑らかにした感じです。
一見デザインのために配置されているのかなと思うのですが、違います!

シュータンの断面図の画像です。
しっかり内側まで、ゲキ落ちくんが配置されています(赤丸右側、左はスポンジ)。
前足で地面を掴む際や蹴り出す際に足を曲げますよね?

こんな状態です。
この時にシュータンが硬くゴワゴワしていると不快感が凄いんですよね。。。
細かい部分かもしれないですが、どのような動きを繰り出したとしても不快感を最小限にしてくれる細かい工夫は素晴らしいです。
KD 13 EPのアッパーは、シグネチャーシューズらしい細かい工夫がたくさん施されています。

KD 13のミッドソール、インソールを分解
まずは、インソールから紹介します。

カットして、断面図を確認してみましょう。

見た感じ一般的なインソールに見えるのですが、
麩菓子のような質感と画像の青い部分が他のインソールと少し異なります。
上の画像を今一度確認すると、3層構造なのが分かるでしょうか?
上の層の黒い部分がコットンのような素材感で、質感は滑らかです。
足裏に当たる部分なので、快適性重視です。
2層目の青い部分がEVAのような柔らかさを持った素材です。
この部分がインソールの中で一番厚手で、クッション性を提供してくれます。
3層目がチラッと見えている白い部分で、この部分が麩菓子感を感じさせる部分です。
かなり軽量で、手でグッと押し込むと急激に凹み手を離すとすぐに元の形に戻ります。
衝撃を吸収してくれる感じですね。
通常のシューズと比べると、「工夫されるすぎでは?」と感じてしまうのですが、これがシグネチャーシューズの力です。
定価税込19,250円は伊達ではありません。
さぁ、いよいよKD 13 EP一番の目玉、エアストロベル構造を採用したミッドソール部分の紹介です!!
基本的な構造と機能面は、
上記レビュー記事から確認して下さいね。

この状態から、エアストロベル構造で配置されているフルレングス(足裏全体のズーム エアを外していきます。
この作業に約1時間30分の時間を要しました。
今まで類を見ない頑丈さで、動画を見て頂ければ分かるのですが、手と腕を負傷しました。。。
動画のタイトル通り、「名誉の負傷」と個人的に感じているので無問題でございます!!

外すとこんな感じです。
フルレングスのズーム エアは他サイトやNike公式のページでも画像や機能面の解説は確認できると思うので、割愛します。
本記事で注目するのは、ズーム エア数カ所に刻まれている溝です。
この溝を見て、何か思い出しませんか?

そうです! カイリーシリーズに搭載されている、エア ズームターボです!!
ズーム エアに溝を刻むことで、柔軟な動きが可能となり、個々の足の形に合わせて反応し、どの位置から着地しても高い反発性を提供してくれる簡易的な構造ながら凄いやつなんです!!
このエア ズームターボに似た構造が、KD 13 EPのズーム エアには刻まれています。
フルレングスのズーム エアを分解して確認するのは初めてなので、もしかするとデフォルトの構造かもしれないので、今後の分解の課題としたいと思います。

ちなみに、裏側はこんな感じです。
ファイロン素材がこべり付き、分解に苦戦したことを物語っています。。。
次は、フルレングスのズーム エアの下(前足部分)に配置されている、もう一個のズーム エアを分解していきましょう!

先ほどのズーム エアと比べると簡単に分解できたのですが、力を使い果たしたせいか…いつもいつもに増して時間を要したことは言うまでもありません(心が折れかけた…)。
画像を見ればある程度大きさが伝わると思うので、そこまで言うことはありません。

画像の青い部分(アウトソール )の丁度真上に配置されていて、ややこの青い部分より大きめのサイズとなっていました。
しかも、以前分解したランニングシューズ”ライバル フライ“と同じ大きさと構造となっていました。
このサイズのズーム エアは量産型なのかもしれません。。。

足に当たる表側と

アウトソール側の裏面です。
履いた時に前足で感じた膨らみはこのズーム エアが影響してのことだったのでしょう。
先ほどのアウトソールの画像青い部分を軸にプレーすることで、このズーム エアをフルで活かすことができると反発性をより感じることが可能となります。
こやつの大きさと配置箇所を理解することがKD 13 EPを攻略するカギなのかもしれません。。。

前作はヒールに小さめのズーム エアが配置されていたことも忘れずに!!
ミッドソール最後は、前作穴が複数配置されていたファイロン素材をチェックしていきましょう!
もちろん、今作も同じファイロン素材が採用されています。

前足の青い部分が先ほど紹介したズーム エアが配置されてた場所です。
真ん中の水色部分がアウトソール から見えるTPUプレーとの位置となっています。


アップにするとこんな感じです。
前作と比較すると至ってシンプルな構造となっています。
軽量化がテーマになっていること、前足のズーム エアをフルで感じるための構造と言えばポジティブかもしれません!!
もちろん、TPU部分の大きな穴はクッション性と柔軟性を提供してくれますし、ヒール部分の穴も…おそらく同じでしょう(製造の上で必要なパンチなのかもしれませんが…)。
実は、注目すべきは薄さです。
多くのナイキ契約プロバスケットボール選手が口を揃えて言っている
「地面との接地感」を提供するために、KD 13 EPはナイキバスケットボールシューズにしてはかなり薄めに(特に前足が)ファイロンを配置しています。
接地感とは、地面の質感、距離、足の細かい動きを感じるといった抽象的な感覚なのですが、研ぎ澄まされたプロの感性であればビンビンに感じることができるのでしょう。
一般のプレーヤーも、研ぎ澄まされた感覚を感じたことはありませんか?
ワンピースファンなら分かるかもですが、アラバスタでゾロが石を切ったシーンに似た感覚です。
いつもの自分とは思えない冷静さと周りを感じることができるアレです。
このような感覚をより発生させる後押しをシューズがしてくれていると言うイメージですね。

KD 13のアウトソールを分解

毎度お馴染みかもしれませんが、アウトソールは現状切り離すことが困難なので、特に紹介することはございません。。。
もう少し分解が上手くなった際に、綺麗に切り離し紹介したい…という展望があるのですが今時点では不可能。。。
何か良い方法があれば教えて頂けると嬉しいです!!
なので、先ほどミッドソールでも薄さについて触れましたが、その薄さとXDRではない柔らかいラバーアウトソールが影響し、かなり柔軟であることを画像で表現し、アウトソールの紹介と代えさせて頂きます!!

さいごに…

ミッドソール、アウトソールの断面図と共にお別れです。
本記事を参考に、シューズを今まで以上に理解した上で日々のプレー向上にお役立て頂けると幸いでございます!!
次回は、ナイキ最新作のランニングシューズ”ナイキ エア ズーム ペガサス 37”をレビュー、分解していきます!!
お楽しみに!!!!!
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アッパーの内側に配置されているらしいスポンジ部分
ミッドソールに配置されているファイロン素材の構造
ミッドソールに内蔵されている2つのズーム エア